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2011年08月11日

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

南城市知念にある陶芸工房&ギャラリー 涯山窯。


作家・玉木弘一さんの作品が一同にそろうその場所は、東海岸の海を眺め、
知念城址の近くに建つ、自然豊かな一軒家です。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

玄関先になにやら不思議な人型の置物が。
涯山窯-森の精霊を感じる陶器

「これはなんですか?」との問いに、「森の精だ」と答える玉木さん。
飄々とした表情はなんともいえず愛嬌があり、玄関先を賑やかにしています。

森や海の自然に惹かれて、この土地にやってきた。


玉木さんが南城市知念のこの土地に工房をかまえたのは1985年ごろ。
元々は那覇市に工房を構えていたが繁華街が近いため、創作にもっと適した環境を探していたときに、この山と出会ったそうです。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

知念に移り住んでからは、1年間何もせず朝は東の海から上ってくる朝日を浴び、日が暮れるまで山と向き合ったとのこと。自然と向き合うことで、自分の中の創作表現に対する姿勢も徐々に変化があったそうです。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

今までの玉木さんの作品は「練りこみ」とよばれる素朴な土の良さを表現した、なんとも味わい深い作品。数々の展覧会にも出品し、新聞メディアでも取り上げられていました。今でも玉木さんのお母さんは、この練りこみの作品を愛してやまないそうです。

1年間の充電期間を経て、また玉木さんの作品に新たな表現が加わりました。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

赤・黄色・青などのカラフルな彩りがざっくりとした白の陶器を小粋に飾ります。ヨーロッパの香りもするその意匠は、創作に自由に取り組む玉木さんの表現の豊かさを表しています。

「よくね、ヨーロッパにいたんですか?と聞かれるんですよ。でも1度も訪れたことがない(笑)。」

カラフルなシリーズには、天道虫をモチーフにしたものもあります。

「天道虫はヨーロッパで幸せを運ぶものとして、昔から縁起が良いとされていた。そんなところからもしかすると欧風な匂いがするのかもね」と玉木さん。

つくる前が苦しい。ずっと産みの苦しみがある。


作品のバリエーションが広く、まるで違う作家さんが作ったのではないか?とも思わせる玉木さんの作品たち。

その創作現場を訪れてみました。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

自然を望む窓を前に、ろくろを置く。作品を作るときは一切音楽はかけない。
土は作品ごとに微妙に配合を変えているとのことです。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

この日もろくろを回し、土から次々と器をつくります。その速さはさすが職人技。

その他、不思議な形の灯篭も数々作り出しています。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

「だいたい、ラフスケッチをたくさん描いて、イメージを具体化していく。イメージが固まるまでは本当に苦しい。一度作り出すと、楽しいよ。デザインポリシーが変わることもあるけれど、その時はその時。それで良いと思う。」

涯山窯-森の精霊を感じる陶器
▲焼く前、乾燥中の灯篭。ユニークなその形から灯りがもれるのを創造すると、楽しい。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

抽象画のような線が表面を遊ぶ、花器。左右みごとに均一な器も作りつつこういった感性を活かした作品も産み出していきます。工房の中は玉木さんの頭の中が見え隠れしていました。

窯にはびっしりと焼き時間や温度がメモされているベニヤ板が。ノートに書くよりも効率的、とのこと。
涯山窯-森の精霊を感じる陶器

様々な作品を生み出す玉木さんの人柄がもっと知りたくなりました。

演劇もやるんですよ。その時はね、大きい声出しますよ。


涯山窯-森の精霊を感じる陶器

作品の幅から玉木さんの人柄を感じることができますが、実際に話していても面白いです。
奥様が玉木さんの作ったコーヒーカップ&ソーサにコーヒーを入れてくれて、しばし歓談。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

もともとインダストリアルデザインをやっていた玉木さんは京都で河島浩三氏と船原昌久氏に師事。二人の師匠のもと、学んだのはまったく逆のものだった。

「河島先生はとても前衛的な考えの方。モダンリアリズムを追求されていた。反対に船原先生は伝統を重んじる方。両先生から技術を盗もうと、本当に必死でしたよ。やはりその時学んだものが生きているのかな。」と玉木さん。今の幅広い作品の数々のルーツを感じました。

「あとね、僕は演劇もやるんですよ。そのときはね、またうって変わって体全身を使って表現する。大きな声も出しますよ。」と嬉しそうに話す。実際の練習風景の写真を見せていただきました。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

生き生きと手を上げ、お腹の底から声を出しているのがひしひしと伝わる写真。
「陶芸もね、演劇もね、やっぱり自己表現なんですよ。自己表現がやっぱりすきなんですね。」

彼が死んでも、作品は誰かの生活を彩っている。それって素晴らしいことよね。


訪れる人々と気さくに会話される奥様は染物をやっている。布のことになると目がキラキラしてとても楽しそうです。彼女に会うために涯山釜を訪れる人も少なくないのではないでしょうか。

「作家さんを旦那さんにもつと、大変じゃないですか?」との不躾な質問をしてみました。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

「大変よ~(笑)。自由な人だから、いろんな苦労もしたし。
でも素晴らしい仕事だと思うわよ。だって、彼が死んでも彼の作品は誰かの家に残っていて、誰かの家の食卓やリビングに生きているんだもの。こういう仕事って、なかなかないわよね。」
そう笑顔で答える姿に、深い愛情が垣間見れました。

完成はありえない。常に変化していたい。


今でも精力的に作品を作り出す玉木さんに現在(2011年8月)の作品のテーマをうかがいました。
「今は…平和だね。平和をテーマに作品を作っているよ。毎回ひとつのテーマをシリーズ化するんだ。いつまでも完成はないね。完成は、ありえない。常に変化していたい。」とゆっくり答えていました。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器
凹凸のある表面がペラリとめくれた形の花器。モチーフはなんと「フランスパン」とのこと!

ゆったりとした室内に作品がならび、取材中もお客様が賑やかに作品を選んでいました。
涯山窯-森の精霊を感じる陶器

外のテラスでは子どもたちが賑やかにシーサーを作っている。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

「見本に合わせて、作っているのよ。結構上手よね。」と奥様。
こんなに自然が豊かなところで陶芸が楽しめるなんて、なんとも贅沢!
予約すると一般の方も陶芸体験ができます。地元でも陶芸に興味のある方が毎月教室に通うそう。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器
▲小さな未来の作家?たち。

壁にぶつかる。創りつづけることで、突破口が見える。


玉木さんは今まで何名かの弟子をとったが、壁にぶつかってやめてしまう人も多かったそうです。

「誰だってね、壁にはぶつかるんです。しかしそこでやめてしまってはどうにもならない。創りつづける勇気が必要なんです。創りつづけるところで、突破口がみえる。若い方たちにはぜひ踏みとどまらず、進み続けて欲しいと思う。」そう語る玉木さんの目はきらきらしていて、今でも創作意欲に満ち溢れていました。

もし、陶芸を志している方がいたら、まずは教室で玉木さんの作品づくりに触れてみてはいかがですか?

■玉木弘一さんの作品の一部をご紹介します。
涯山窯-森の精霊を感じる陶器
▲深い青の魚をモチーフにした絵付け。海からインスピレーションをもらう事も多いとのこと。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

▲土の素材感をのこす急須と茶碗。このセットが揃うと家でのおもてなしも、心がはずむ。


涯山窯-森の精霊を感じる陶器
▲テラスにさりげなくおかれた精霊たち。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

▲いろんな表情をもつ器。もってみると、驚くほど軽い。軽くて美しい器づくりはとても難しいとのこと。

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

涯山窯-森の精霊を感じる陶器

▲花器やつぼも素敵。床の間や玄関先に遊びがうまれます。

自然豊かな陶芸工房&ギャラリー 涯山窯。ゆったりとした自然を楽しみながら玉木さんの自由な作品に触れてみるのも、南城市の楽しみ方のひとつです。

■涯山窯(がいざんがま)
住所:南城市知念字具志堅268―1
電話:098-948-7644
定休日:不定休
陶芸体験教室も開催しています。詳しくはお電話にてお問い合わせください。



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Posted by なんじょうハート at 14:17│Comments(0)工房訪問
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